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自転車を点検しよう


 自動車教習所でかならず教わる「始業点検」。いまどき「あの」手順に沿って自動車を動かす前にやる人ってどれくらいいるのかな?だけど、事情が変われば点検も変わる。。。ロングドライブならガソリンスタンドで「ガソリン満タンそれと空気圧もみて」という様に心構えも変わるというものだ。やってみよう!サイクリングの前の始業点検。
1 車輪がないと自転車じゃない!だから車輪から。。。
@クイックレバー
車輪固定の要。これがちゃんと固定されていないと、話にならない基本の「き」
A空気圧
これは乗る前にちょっとタイヤを押してみるだけでいい。なにせパンクの発生原因の7割は空気不足といっても過言ではない。風船だって放っておけば空気は自然と減っていく。だから、自転車のチューブだって同じコト。
Bタイヤの表面を見る
車輪をゆっくり廻してタイヤの表面を見てみよう。トレッド(タイヤ表面の模様)の減り具合を見極めるのはもちろん、切傷擦り傷ないか同時にチェックしよう。タイヤの傷はバンドエイド張っても直らない。だから、要チェック!程度問題でもあるがほとんどの場合、最初は小さい傷。それが以前と比べて広がっていくようなら、交換も覚悟しよう。
C車輪の廻り
さきほど、車輪を廻してみたがこのとき自転車を持ち上げている手に伝わる感覚を研ぎ澄まそう!。ゴロゴロ何がしら伝わってくるわけだが、「いつも」と「いつもとの違い」を覚えておこう。できれば、車輪を止めて車輪をつまんで左右に振ってみる。カタカタしてなかったらOK。後輪なら、フリーの音も聞いておく。五感総動員なのだ。
D極めつけ!リムの振れ
Bと同時にブレーキシュー(ゴム)とリムのクリアランスに注目。隙間がくっついたり離れたり(これを“振れ”という)。。。左右2ミリくらいなら問題ない。後輪の方が振れていることが多い。よく働いてるもんね。それ以上なら、ホイールバランスを再調整なのだ。
Eちょっと上級「スポーク」の張り
Eの1:理屈じゃこうなっている
MTBやロードバイクなどスポーツサイクルの主流は32本のスポークでひとつの車輪ができている。中にはもっと少ない本数でスカスカなモノも。。。「あんな細いのによく平気だな〜」と関心している場合ではありません。スポークが組み紐のように、交差し均等に張られ、32本が均等にお仕事しているからちゃんと車輪として「円」になっているのです。振れの原因はスポークの自然に起きる緩み、衝撃によるスポークの張り具合の変化、あるいはもっと強い衝撃によるリムの変形。。。など大まかには3タイプ。また、ホイールバランスの再調整を繰り返し繰り返し行うと、それぞればらばらのテンション(張り)となり、均等に仕事をしなくなる。。。
Eの2:点検
さて実際の点検方法だが、32本の内訳は片側16本づつ、16本が2本ずつ交差しているから片側8箇所のテンションを触って確認してみる。どこか極端にゆるいところがあったら危険信号だ。この点検は左右前後全て行う。ちょっとベテラン風。

以上、異常がなければ1分で完了!!(マジかよー)


2 「とまらない」じゃシャレにならない!だからブレーキ
@1に手ごたえ2に手ごたえ
先ずはブレーキレバーを握ってみる。
・ストロークは?
自分が一番かけやすいストロークが理想。理想を追求しよう。ただし、目一杯握ってハンドルにあたってしまうようだと×。
・感触は?
ぐにゃぐにゃか?ぴしぴししてるか?いつもよりぐにゃっとしたら、ブレーキケーブルの経路に注目。特にMTBやクロスバイクなどのフラットレバー+Vブレーキ(カンチブレーキ)は要注意。レバーからブレーキ本体までの経路をたどり、ブレーキレーバーからのoutポイント〜フレームのところのin-outポイント〜ブレーキ本体へのinポイントが「しかるべき」トコロに収まっているか確認しよう。ブレーキシュー(ゴム)の劣化あるいはケーブル(インナー、アウター)の劣化もぐにゃぐにゃの原因になることも。インナーのさびや、アウターの表面の劣化を目視で確認する。ゴリゴリしてたら、ケーブルの油切れ。あー感触を字にするのはムズかしい。。。
A念には念を取り付け確認
ブレーキ本体の取り付け部のねじ。ブレーキシューの取り付けねじ、そしてブレーキ本体のワイヤー取り付け部のねじも確認。これにはバラのアレーンキーより、コンビネーションタイプのアーレンキーをいつもおそばに持っておくと非常に便利。ちゃんとしたメンテリペアにはバラのアーレンキーが使いやすいのは言うまでもない。。。
B乗る前にもう一度!
自転車に乗らずにハンドルに手をかけ前後に動かし(ゆすり)ながら、ブレーキング!。特に前進方向を強め押す。このときちゃんととまれば、ブレーキはOKだ。前ブレーキ、後ろブレーキ別々に同じ動作で点検する。

::補足::
自転車は後ろに進まないからバックでの点検は無用?ではないのだ。のぼり勾配の途中でかけっぱなしでストップをキープするコトだってある。ただし、シューを良く見れば、金属製のウケにシューが固定されているものもある。これは後ろ方向にオープンになっているから必要以上に強くバックテストをすることもないのだ。

ブレーキに異常がなければこの間50秒。
合計でもまだ1分50秒!

3 ヒトと自転車の3つの接点
点検となるとハンドル→ペダル→サドルが優先順位となる。その理由は何処に??
@ハンドル
ハンドルの取り付けに異常があっては絶対ダメ!。ブレーキもままならない。方向性もままならない。そこまで緩むことはマズ無いと思うけど、走行中にズリッっと動いたら結構オドロキ!それだけでも慌てちゃう。つまりハンドルチェック=ステムの固定度チェックなのだ。車輪を脚ではさんで左右に動かしてみる、上から過重を掛けてみる。もちろんアーレンキーでねじの締め具合をチェックするのが一番!なんだけど。
Aペダル
ハンドルと同じく、よりによって「登板中」にペダルが外れたら。。。クランクが外れたら。。。しゃれにならない、ハンドルで顔面ヒット間違いなし。輪行でペダルはずしをやっているヒトは入念な取り付けを。クランクの回転軸(ボトムブラケット)も含めてガタがないかチェックする。ビンディングペダル使用のヒトは、靴のクリートも工具を当ててチェックしよう!!これかなり重要。普段まるっきり忘れてるけどね!
Bサドル
左右に動かしてみて、よっぽど強く廻さない限り動かなければOK。サドルの上下だけはすり割式の固定といって、フレームに割り(溝状の切れ込み)をいれてバンドないしは締め付けねじで固定している構造のため、他の部品と違って「締め切る」感覚が少ない。ってなことで、よっぽど強く廻して少し横に回るくらいなら、走行中に「ストン」とサドルが下がってしまうコトはまずない。超軽量カーボンピラーならな必要以上に強い力で点検する必要はない。ピラーとサドルの取り付けもこれは結構ちゃんととまる機構なので、それほど神経質にならなくても、この程度の点検で十分。もちろん高さや角度なら、微妙なセッティングも必要だからいつも気に止めてあげようね。


ハンドルペダルサドルに異常がなければこの間45秒!
合計まだ2分35秒!!


4 やっと出てきた変速機
 メンテナンスなら変速機が主役といっても過言ではないのだけれど、点検となると優先順位最後かよ?!そうなんです、変速機が動かなくても「苦労」することはあっても命に関わるハナシでもないのだ。でもチェックポイントはあるので、点検点検っと。

@インデックス(位置決め)
変速機はレバーからの指令で、変速機本体が同調(シンクロ)して、ぴったりの位置に止まる機構になっている。んだもんで1.1〜1.3までの項目がクリアしていたらかるーく乗車して点検すればよいのだ。「カチン、カチン」と小気味よく変速すれば気分は上々。ちゃんと同調せず、「カラカラ」音が長く続くようだと、ワイヤーの張りが原因。あるいは輪行のときに、アウターを曲げちゃったか?ワイヤーの張りが原因ならテンション調整でその場でなおることが多いが、アウターが曲がってたら、手で戻すようにしてその場をしのぐ。いずれも帰ってきたら即メンテないし交換しよう。
Aこれがないと進まない「チェーン」
優先順位が低い割りに、重要なのがチェーン。さっきは乗車でチェックしたけど今度は一呼吸!いったん自転車から降りて目視でチェック。クランクを後ろ廻しにして2〜3周すればよい。このとき、ギアが変わってしまうようだと、インデックスの再調整が必要なことも。しかし、このチェーンその場で異常が見つかるようだと、日頃のメンテが悪すぎる。むしろ出かける前に注油しておくとか心がけが大事。

この項目異常がなければ25秒???(あやしい数字)
トータル3分!!(早やっ)

5 補器類の点検
@ライトは点くか?バッテリーの残量は(ライフサイクルから判断)?
Aベルは鳴るか?

6 ヘッド部
ヘッドってなんだ???フレームはメインフレームとフォークといって前輪部の部分と2部で構成されている。これをつないでいる部品いわば関節がヘッド小物。これにガタがあるとそのときは致命傷にならなくても、放っておくとかなりイタイ出費に!ガタありではフィーリングも良くない。これは、ブレーキチェックのときブレーキをかけたとき同時にハンドルに伝わる手ごたえで調べる(また五感総動員??)。アヘッドならアレーンキーで調整可能だから、やっぱりチェックしておこう。
また、フロントサスもこのときあわせて、シリンダー部の目視と作動状態をチェックしておく。

この項目の時間0秒!
(ガタ状態を実習すべし、体で覚えよう)


7 点検総括
点検は「いつもの状態」と「そうでない状態」を見極める、物言わない道具への問診のようなものなのだ。これら一連の点検がOKなら、自転車は大丈夫。自分の自転車のことは自分が一番良く知っている、よきパートナーなのだ。

::補足::
 「点検」と「メンテナンス」の違いはどこかというと、工具はほとんど用いないで異常個所がないかどうか確かめるのが「点検」。メンテナンスは注油、空気入れなど構造上必要な手を加え、小さな異常を早期に見つけ改善したり、さらには経験則や外観の変化から寿命を割り出し安全率を差し引いたタイムスケジュールで部品交換など小さな異常すら起きる前に先回りして手を入れていくのがメンテナンス。お掃除は点検とメンテナンスの中間の作業。外観の点検でもあるし、メンテナンス前の下準備でもあるし、チェーンにいたってはお掃除そのものがメンテナンスだし。。。ゆえにどちらともいえる。これだけ愛情そそいだにも関わらす、問題(故障)が起きてしまったら…これを解決(直す)のがリペア(修理)。




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